総合医療学講座

幅広い診療能力を有する総合医の育成及び大学病院と地域医療機関との連携形態(地域医療の充実)の確立を目的として

綜合医療講座ブログ

2月 2017

第4回 島根・セメイ国際シンポジウム「The Lesson from 30 years after Chernobyl accident」を開催しました!

1月26日(木)講義棟、L3講義室にて「第4回 島根・セメイ国際シンポジウム The lesson from 30 years after Chernobyl accident」を開催しました。

今回は国内やカザフスタンのセメイ医科大学だけでなく、ウクライナからもご参加、ご発表いただありがとうございます。当日の演題は下記のとおりです。

 

●ランチョンセミナー「Monoclonal Antibody in the Management of Advanced Thyroid Carcinoma」

1) Changes in radiation injury related mRNA expression in the lung of rats Exposed to radioactive 56MnO2 powder/ 藤本成明(広島大学)

2) Pathology of internal exposure/ 七條和子(長崎大学)

3) Internal exposure experiments and its meaning/ 星 正治(広島大学)

4) A local report on the 30th anniversary of Chernobyl/ 山田英雄(獨協医科大学病院)

5) Morphology and immunohistochemically of placenta after 30 years Chernobyl accident/ タマーラ・ザドローザ(ウクライナ国立医学アカデミー)

6) Unfolding of the tragedy, Semipakatinsk nuclear test site review/ ファルハット・アディルハノフ(カザフスタン セメイ医科大学)

7) Semipalatinsk nuclear testing: the medical and ecological consequences of our days/ イエルシン・サビトフ(カザフスタン セメイ医科大学)

8) Consequences of Semipalatinsk nuclear testing: population common diseases and Governmental support/ アイゲリム・ムハメド(カザフスタン セメイ医科大学)

9) The 4th report of child thyroid examination in the Kanto region (Fukushima nuclear power plant accident five years later)/ 野宗義博(島根大学医学部 総合医療学講座)

10) Radiation related thyroid problem in Hiroshima/ 武市宣雄(島根大学医学部 臨床教授)

 

ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

 

報告「福島近隣県における甲状腺エコー検査の実施について」 医学科1年 横溝加奈子さん

1.背景

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原発事故において、福島を中心とした東日本の広域に放射性物質が放出された。1986年のチェルノブイリ原発事故後は小児において事故による放射性ヨウ素拡散の影響と考えられる甲状腺がんが多数見つかっており、今回の福島第一原発事故においても同様の影響が有るのではないかとの懸念がある。福島県においては県主導の甲状腺がん検診が事故当時18歳以下のすべての小児を対象として実施されているが、その他の近隣県では県による検診実施はおこなわれていないのが実情である。2016年11月12日・13日、民間団体である関東子ども健康調査支援基金が実施した塩谷・矢板会場甲状腺エコー検診に参加した。

 

2.検査実施と周辺地域の状況

関東子ども健康調査支援基金は2013年設立。甲状腺エコー検診を行政による検診が行われていない関東近郊県(千葉、神奈川、埼玉、栃木、茨城)において実施、受診者延べ人数は約6000人である。運営は主に地域住民がボランティアとして担っており、エコー検査を実施する医師も交通費支給のみのボランティアである。検査実施の目的は、「子どものからだの現状把握と経年変化をみていく中で、懸念の実態を明らかにし、疾病の早期発見早期治療を可能とすること」である。実際に病変の有無を確認するだけでなく、放射線の影響を心配する地域住民、特にリスクの高い子どもを持つ保護者などの必要としている人々に正しい情報を伝える場としても重要である。また同時に、多数の検査データを集めることは今後の疫学調査としても有用であると考えられる。 今回の2日間の日程における検診の受診者は、11月12日73名、11月13日37名の計110名。内、再受診者は62名であった。懸念されるような嚢胞、結節等はどの受診者にも発見されなかった。対象者は甲状腺への影響が心配される事故当時0歳~18歳の子どもであるが、保護者が申し込んで受診させるため小学生など比較的若年層が多い。 塩谷町には福島第一原発事故に伴って発生した指定廃棄物の最終処分場建設が決定しており、処分場が完成すれば栃木県内すべての指定廃棄物を塩谷町に収集して廃棄することとなる。処分場の建設予定地は自然豊かな高原山麓の国有林であり、貴重な水源と地理的に近接していることから地元住民の放射線に対する懸念は多大なものであり、甲状腺への影響についてもより関心が高くなっているようである。こうした背景から、これまで民間団体である関東子ども健康調査支援基金が甲状腺エコー検査を担ってきたが、2016年8月、塩谷町は独自に甲状腺エコー検査を実施するための助成費を補正予算案に盛り込むことを決定している。

 

3.今後の課題

先に述べたように、受診者の大半は若年層である。当時10代前半~後半の子どもについては影響が懸念されるものの保護者とともに受診に来る機会は減っており、この年齢層の子どもについての検診をいかに実施するかは今後の課題である。 過剰診断によるリスクを回避する、または甲状腺がん発症のリスクが高いという結果が出た場合に人口が流出する危険があるなどとして、甲状腺エコー検査実施に反対している自治体も多い。しかし、子どもに対する放射線の影響を心配する保護者は多く、検査を実施しないままにその懸念を取り除くことなどできない。検査が実施されないことによる行政への不信感や少しでも放射性物質への曝露を防ごうとする意識から、逆に人口の流出を招く結果となる可能性もある。実際に、放射線の影響を心配しつつも検査の機会すら得られないまま生活している住民がいることを行政は認識する必要がある。 一方で、塩谷町において町がエコー検査実施を決定したことは大きな前進である。民間が実施するエコー検査会場において県議会議員や町議会議員の視察を積極的に推進し、かつ実施状況や住民の声を行政に届けてきた活動の成果であると考えられる。放射線の影響の有無がはっきりと分かるまでには少なくとも10年以上の経過観察が必要であるため今後も検査実施が望まれるが、福島を除いて現状では民間が実施するしかない地域が大多数である。今後、塩谷町のように民間の声を反映した施策が広がっていくことが、安心できる暮らしのために求められていると感じる。

 

【参考文献】 

・下野新聞 2016年8月27日付け朝刊 

・福島県県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会 平成27年3月甲状腺検査に関する中間取りまとめ 

・ 関東子ども健康調査支援基金、2016年11月10日、「甲状腺エコー検診を受けられるみなさんへ」 

・ 関東子ども健康調査支援基金ウェブサイト

第13回鑑別診断道場、開催しました!

1月25日(水)14:00より、みらい棟ギャラクシーにて「第13回鑑別診断道場」を開催しました。講師は亀田ファミリークリニック館山院長 岡田唯男先生、症例提示は初期研修2年目の越智康之先生でした。チュートリアル入門コースの期間中でもあることから、たくさんの3年生の参加もあり、今までで最大の参加者数でした。

症例は88歳男性、主訴は腰背部痛。5年生も含めた11グループが患者さんの様々な症状や検査結果をたどって病名を絞り込んでいきました。

岡田先生、越智先生をはじめ、参加いただいたみなさま、ありがとうございました(^_^)

チュートリアル入門コース、終了しました(^_^)

平成29年1月20日(金)より6日間、医学科3年生を対象とした「チュートリアル入門コース」(総合医療学が担当)が終了しました。

 

 1日目:コアタイム1(木島庸貴先生)、疑問の調べ方(浜田市あさひ診療所 佐藤誠先生)

 2日目:臨床推論1,2(和足孝之先生)、核被曝と医療(野宗義博先生)、グループワーク×2

 3日目:コアタイム2(出雲市民病院 高橋賢史先生)、咳の症候診断(高橋賢史先生)、グループワーク、臨床検査の見方(検査部 長井篤先生)

 4日目:腹痛に迫る(隠岐病院 樋口大先生)、グループワーク、病院総合医(山形真吾先生)、総合診療とは?(亀田ファミリークリニック館山 岡田唯男先生)

 5日目:医療面接(木島庸貴先生)、頭痛に迫る(大曲診療所 藤原和成先生)、医療英語(検査部 アブドラ先生)、グループワーク

 6日目:コアタイム3(木島庸貴先生、石橋豊先生)、最終発表→ 試験

 

例年よりもグループワークを重視した内容でした。今回の結果を踏まえ、今後の参考にしていきたいと思います。

3年生のみなさん、お疲れさまでした(^_^)/~

 

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