総合医療学講座

幅広い診療能力を有する総合医の育成及び大学病院と地域医療機関との連携形態(地域医療の充実)の確立を目的として

綜合医療講座ブログ

6月 2013

『福島県の甲状腺健診に参加して・・』  6年 青柳遼さん

今回、大田市立病院での地域医療実習でお世話になった野宗義博教授からのお誘いをいただきまして、福島県いわき市でのNPO法人「いわき放射線市民測定室たらちね」が主催する、甲状腺検診へ同行させていただきました。

現在、放射線事故がもたらす小児の甲状腺への影響の有無は、意見が分かれ「影響は全くない」という有識者からの意見も多く聞かれます。

しかし今回のような未曾有の事故による影響は、本来誰も正確にはわからないはずです。よくチェルノブイリ原発事故との比較がなされますが、それと今回の福島の件は時代も、周辺に住んでいた方々の人種も、規模も全く違います。さらに「たらちね」の方々からはメディア上では、あまり明らかにされていない事故当時の被ばくの様子をお聞きしました。これらのことから考えても、影響は全くないと言い切ることは、やはり不可能だと思います。

今回の検診でも、事故が原因であるか否かはわからないけれども、異常が認められた方が数名おられました。また、大きな不安を抱えてこられた方々が、先生の異常なしという言葉によって笑顔で帰っていく姿を見て、この検診の意義がとても大きいことを感じました。

また1日目の検診終了後に「たらちね」の方に、津波の被害に合った地区と制限区域まで連れて行っていただきました。

2年たっても辺り一面家の土台しか残っていない風景や、制限区域に近づくにつれて上がってゆく線量計測機の値をみました。そこで改めて東日本大震災が引き起こした爪痕の大きさと、復興があまりにも遅々として進んでいないことに対して、何とも言い難い憤りと、もどかしさを感じました。このことは検診と同様に、遠く離れた島根からメディアを通じて得る情報だけでは、決して感じることはできませんでした。

今、学生という立場でできることはほんのわずかしかないことを痛感いたしましたが、近い将来医師としての仕事の中で、今回の経験を生かす場面を模索していきたいと感じました。

最後になりましたが、このような貴重な機会をいただきましたことを、野宗教授、石橋教授をはじめとした総合医療学講座の皆さま、いわき放射線市民測定室たらちねの皆さまに感謝申し上げます。

島根大学 学生 青柳遼

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