総合医療学講座

幅広い診療能力を有する総合医の育成及び大学病院と地域医療機関との連携形態(地域医療の充実)の確立を目的として

綜合医療講座ブログ

4月 2013

サンフランシスコ シミュレータ研修視察

サンフランシスコ シミュレータ研修視察

2013年 3/25〜3/30

初日(3/26 火曜日)

 午前中は、ゆっくりして、午後近くの救命士養成学校の視察です。

レールダックの吉田さんの紹介で行きました。

Fast Response 校(救命士への教育):ガレージのようなところでの、3G SimManでのバイタル取得 上体だけでの酸素カヌラ装着実習をしていました

 指導者、学生いずれも実に熱心

 

 

3/27

 UCSF:実際の実習は見学できなかったが、医学生と看護士への教育を行っているとのこと。担当教官は、もと救命士で6年間救命士として働いた後に、このシミュレータセンターの教官になったとのこと。凄まじい救急現場に使えれてしまったというのが転職の理由だとか。実習室はOSCE教育にも使われており、またシナリオはリストを見せてくれと頼むと、自分の机上、机中にあふれんばかりに入っており、受講生にあわせて常にrenewalしていると。おそれいりました。

  その後、USFを見学(看護士への教育)

 

 

3/28 午前10時半出発、12時半から

Stanford大学

  その後、サンフランシスココミュニティー大学での看護シミュレータセンター(College of San Mateo)

 

3/29−30

 Stanford大学 Gaba教授(麻酔科教授 シミュレータセンター長)

による麻酔科2年目レジデントのシミュレータ研修を見学。シナリオは腹腔か鏡手術麻酔中の悪性高熱への対応。シナリオとしては30分と長い。部屋は薄暗く、麻酔科医扮する術者(男性)とレジデント扮する助手(女性)が3G SimMan扮する患者の手術中にhyperthermiaが発生するという設定。設定は、非常にゆっくりで、10分過ぎた頃からHRがそれまでの70台から90台に増加、BPも110台から130、140台に上昇、体温は華氏97度、99度、100度(摂氏38度)と次第に上昇。麻酔科のレジデントは、最初は声を小さくゆっくりでいかにも落ち着いているように見えたが、次第に興奮してきたのか声は大きくなり、対応に困ると指導医を読んでくださいと叫ぶ様子は、臨場感たっぷりである。加えて、フロアナース役の2人(いずれもスタント)がレジデントの指示に従って薬を出し注射する様子は、実際の手術現場を思い起こさせる。冷却用の氷を外のナースが持ってきて患者(マネキン)の脇下に入れる様子も、臨場感を際立たせる。コントロール室のGaba先生が、シナリオを進めるのであるが静かに隣に座るアシスタントにバイタルの変化を指示するのであるが、その様子はいかにも自然で、流れもスムーズ。マネキンを使いバイタルの変化だけで、これほどの実習環境を作り出す技に驚きと尊敬を感じずにはいられなかった。トレーニング室は、コントロール室とde-briefing 室の両方から観察することが出来るが、トレーニング室から見なくしてある。実習の風景は2個のカメラ(SONY)でビデオ撮影されており、声も録音されている。de-briefing

室では、次に研修するレジデントが今のレジデントの実習の評価を白板に逐次記載していたが、これはこの後にde-briefing室で行われる振り返りに使われるとのこと。実に合理的である。残念ながら振り返りの様子は見学できなかったが、約30分の振り返りが40分超になったことは、Gaba先生の指導が如何に熱いかを思わせるものであろう。

 そもそもシミュレータ教育の目的は、まさに下記の通りである。

 Many potential accidents in medicine are due to human error and communication problems. Simulators can help by training teams to function optimally using human factor style teaching.

これに加えて、指導者の指導スキルの向上、若手医師のトレーニング時間の短縮をはかる目的もある。

 私達は、今回三フランシスコの5つのシミュレータセンターを見学したわけだが、米国ではいまや医学教育施設ではシミュレータセンターは必須であり、そして常に発展進化しつつあるようだ。しかし、施設によりそのレベルは様々である。ざっくりと今回見学した施設を飛行機の搭乗クラス風に評価すると(大変に失礼な評価ではあるが)消防士のFast ResponseとUSFがエコノミークラス、UCSFとCollege of San Mateoがプレミアエコノミークラス、そしてスタンフォードというと、ビジネスクラスを超えてまさにファーストクラスと言うべきでしょう。まったく別格というレベルにあり、次元が根底から違ったものをみているような気がする。では、日本の現状はというと、少なくともエコノミークラスぐらいはと思いたいところであるが、実際はそれ以下というのが率直な感想である。シミュレータセンター、シミュレータ室とは名ばかりで、マネキンが並べられているだけの施設も少なくない。そしてながく布に覆われたままのマネキンも数多い。そして、シミュレーション教育の専任教員というと皆無に近いと思える。その点、島根大学には狩野賢二という専任講師がおり、臨床検査技師らしく、マネキンの操作、メンテにすぐれているだけでなく、医学生、レジデント、看護士を対象に個々のスキル指導、そしてコメディカルを含んでのチーム医療研修目的にシナリオを自分で作って行っている点は、高く評価したい。手前味噌であるが、島根大学はエコノミークラスにあるかと自負する。しかし、まだまだ課題が山積である。今回の視察を刺激として、実際の臨床医が力を合わせてシミュレーション教育を行わねばならいと痛感する。

 島根大学の今後の成長に是非ともご注目頂きたい。

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